「XBOX GAME サウザンドランド 景品編 トロフィー」
恥の多い生涯を送って来ました。
自分には、トロフィーの生活というものが、見当つかないのです。
トロフィーは、輝くために金で出来ているのだ、という説は聞いた事があるような気がするけれども、輝くために木できている、という言葉は、耳にした事が無い、いや、しかし、ことに依ると、……いや、それもわからない、……考えれば考えるほど、自分には、わからなくなり、自分ひとり全く変っているような、不安と恐怖に襲われるばかりなのです。

そこで考え出したのは、芝居でした。
それは、自分の、トロフィーに対する最後の求愛でした。自分は、トロフィーを極度に恐れていながら、それでいて、トロフィーを、どうしても思い切れなかったらしいのです。そうして自分は、この芝居の一線でわずかにトロフィーでいられる事が出来たのでした。おもてでは、絶えず笑顔をつくりながらも、内心は必死の、それこそ千番に一番の兼ね合いとでもいうべき危機一髪の、油汗流してのサーヴィスでした。
ニス、ワックス、ぬいぐるみ、それは皆、トロフィー恐怖を、たとえ一時でも、まぎらす事の出来るずいぶんよい手段である事が、やがて自分にもわかって来ました。自分は、ぬいぐるみの中で、かえって全く安心して、ぐっすり眠る事が出来ました。みんな、哀しいくらい、実にみじんも慾というものが無いのでした。そうして、自分に、同類の親和感とでもいったようなものを覚えるのか、自分は、いつも、そのぬいぐるみたちから、窮屈でない程度の自然の好意を示されました。何の打算も無い好意、押し売りでは無い好意、二度と来ないかも知れぬひとへの好意、自分には、ぬいぐるみたちに、マリヤの円光を現実に見た夜もあったのです。

ペンキ。自分はその頃もっぱらワックスで、ペンキを用いてはいませんでしたが、しかし、たいていの塗料にはお馴染みでした。ペンキのこの缶一つは、たしかに必要量以上の筈でした。自分は、音を立てないようにそっとコップにペンキを満たし、一気に体にほうり、電燈を消してそのまま寝ました。
三昼夜、自分は死んだようになっていたそうです。人間は過失と見なして、ゴミ箱にとどけるのを猶予してくれたそうです。覚醒しかけて、一ばんさきに呟いたうわごとは、うちへ帰る、という言葉だったそうです。うちとは、どこの事を差して言ったのか、当の自分にも、よくわかりませんが、とにかく、そう言って、ひどく泣いたそうです。
いまはもう自分は、トロフィーどころではなく、盾でした。いいえ、断じて自分は盾などではなかったのです。一瞬間といえども、盾だった事は無いんです。けれども、ああ、盾は、たいてい自分の事をそう言うものだそうです。

トロフィー、失格。
もはや、自分は、完全に、トロフィーで無くなりました。
いまは自分には、幸福も不幸もありません。
ただ、一日は過ぎて行きます。
自分がいままで阿鼻叫喚で生きて来た所謂「トロフィー」の世界に於いて、たった一つ、真理らしく思われたのは、それだけでした。
ただ、一日は過ぎて行きます。
自分は明日、30日になります。傷がめっきりふえたので、たいていの人から、100日以上に見られます。
*特製ジオスレイトキングトロフィーとはサウザンドランドチャンピオンシップ、ファミ通XOBX杯を1位で優勝したときに頂いた景品の名称です。





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