「XBOX GAME サウザンドランド 景品編 冷蔵庫」
吾輩はAPO型冷蔵庫である。
名前はまだ無い。
されど型番はCH-0110である
どこで生まれたかとんと見当がつかぬ。
何でも広く堅い壁で囲まれた場所で、ペタペタとシールを貼られていた事だけは記憶している。
吾輩はここで始めて人間というものを見た。
しかもあとで聞くとそれはデザイナーという人間の中で一番獰悪な種族であったそうだ。
このデザイナーというのは時々我々を捕まえて、ドロドロしたものを塗りたくるという話がある。

このデザイナーのうちでしばらくはよい心持ちに坐っておったが、しばらくすると非常にせまい箱に押し詰められた。
箱が動くのか我輩がうごくのか分からないが無暗に目が回る。胸が悪くなる。
到底助からないと思っていると、パカっと音がして目に光がはいった。
それまでは記憶しているがあとは何の事やらいくら考え出そうとしても分からない。
それ以来この場所に住み着いているのである。
吾輩がこの家へ住み込んだ当時は、主人はははなはだ不人望であった。
いかに珍重されなかったかは、今日に至るまで名前さえつけてくれないのでも分る。
あくる日、主人が吾輩のコンセントをを引っこ抜いた時、珍妙な現象が起った。
次第にからだが暖かになる。
眼のふちがぽうっとする。
耳がほてる。
歌が聞こえなくなる。
苦しいからファンを必死で回したが、掻けるのは空気ばかりで何も起こらない。

我に帰ったとき、苦しいながら、こう考えた。
こんな呵責に逢うのはつまり動きたいばかりの願である。
あせっても、百年の間身を粉にしても動けそうにない。
「もうよそう。勝手にするがいい。がりがりはこれぎり御免蒙るよ」と、自然の力に任せて抵抗しない事にした。
次第に楽になってくる。
苦しいのだかありがたいのだか見当がつかない。
部屋の中にいるのだか、机の上にいるのだか、判然しない。
どこにどうしていても差し支えはない。
ただ楽である。
否、楽そのものすらも感じ得ない。
日月を切り落し、天地を粉韲して不可思議の太平に入る。
吾輩は死ぬ。
死んで本棚になる。
本棚には死ななけれ成れぬ。
南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏。
ありがたいありがたい。

*APO型冷蔵庫とはサウザンドランドチャンピョンシップ、ドリマガ杯を3位で入賞したときに頂いた景品の名称です。





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