自分根源: 2004年10月アーカイブ

微熱交じりの風邪を拗らせ、リビングで大の字。
昇りきった陽の光がカーテン越しに部屋を照らす。
昨晩発作的に発生した肩の痛みは、まだ治らず、咳き込むたびに刺激する。
今は立ち上がる気力さえ俺には沸いてこない。
少し動けるようになったら医者に見てもらおうと考えながら、少し背の高い天井を虚ろに見つめる。

大きな音が近づいてくるのが解った。
空から落ちてくるような音。
それは俺を目掛けてくるように、だんだん大きくなる。
空が見えない俺にはその正体はわからない。
天井越しから落ちてくるその音は、いつだって俺を恐怖させる。


小さい頃に見た映画。
20年近く前に見た映画。
タイトルも内容もボケてしまったアニメ映画。
主人公は当時の俺と同じような年頃の兄弟。
兄弟は幼稚園児だっただろうか。

その日兄弟は風邪を拗らせて幼稚園を休んだ。
いつだって元気な兄弟だったがその日は幼稚園を休んだ。

米軍の飛行機だった。
パイロットは安定しない機体を捨てて、空へと逃げたした。
機体はそのまま家に落ちた。
家には兄弟がいた。
空から落ちてきた機体から、外へ逃げる事はできなかった。
兄弟は病院へ運ばれそこで死んだ。


あの時の俺はなんであの映画を見たのだろう。
あの映画は俺に何を伝えたかったのだろう。
俺に残ったのは、空から落ちてくるという恐怖だけだ。

いつもは外に行っていた。
風邪で動けなかった。
パイロットは生きていて、子供は死んだ。
今の俺は小さい子供ではないが、いつも外にいて今は風邪で動けない。

大きな音はもっと大きくなり、一番大きくなった後から小さくなっていく。
落ちてはこなかった。

きっと一生落ちては来ない。
だけどきっと臆病な俺は一生恐怖し続ける。
あの時、あの映画を見てしまったから。
落ちてきた時の運命を知ってしまったから。

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