サッカーと歴史

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しばらく、宮城谷氏の中国古代の小説ばかり読んでいたのを、塩野七海のヨーロッパ小説を読み始めたのは、ワールドカップの影響だ。
ワールドカップで争うヨーロッパの国々について、正直知識が乏しすぎて、その歴史的背景がさっぱり解らないという事に気が付いてからだ。

塩野七海とは、まともなヨーロッパ小説を書ける、数少ない人らしい。
ネットでそういう紹介文を見つけたので、モノは試しと4冊ほど購入してみた。
10日ほどで、とりえず読み切った。
適当に購入した4冊だったが、今回のワールドカップに随分と、奥行きを与えることになった。

購入したのはこの4冊だったが、いずれもルネッサンス時代のヨーロッパに集中しているのは、単なる偶然だ。
そんな事まで考えて購入はしていない。

チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷
マキアヴェッリ語録
コンスタンティノープルの陥落
ロードス島攻防記

まずは一番上の、チェーザレ様。
チェーザレの名は、週間モーニングに漫画が連載されているので知ってはいた。
時代的には日本では織田信長みたいなもの。
ローマ法王の諸子であって、イタリア統一を初めて意識した人物だ。
そう、この本を読んで初めて、実はイタリアが小国家の連合体だったということに気付いた。
私はイタリアが、ローマ帝国の支配が消えた地を、てっきりスペインやフランスのように新興の中央集権国家を築いたことが成り立ちだと思っていたら、全然違うらしい。

彼は、たった4年でイタリアの中部を尽く支配下に置き、イタリアの統一の地盤を作り上げるが、毒殺だかマラリアで瀕死の重態になり、その間に失墜してしまう。
結局、イタリアは小国家の乱立から抜けられず、統一まで19世紀を待たなければならない。
その小国家の都市が、現在セリアAのチーム名とことごとく被る。
ナポリは、イタリア南部の大国であったし、フィレンツェや、ボローニャ、ヴェネツィア、モデナや、ミラノと、これも全て小国家。
ローマは教皇の自治区であって、ナポリは王国で、ヴェネツィアは共和国と、体制までが違う、全く違う国だった。
それは日本でいう藩にも似ているけど、日本は江戸幕府という枠があったけど、イタリアにはそれは基本的には無い。
本当に別々の国だった。
そんなことは、もしかしたら、当たり前なのかもしれないけど、こういう成り立ちが、サッカーのチームやその応援する街の意識として、残っているんじゃなかろうかと、思うわけでした。

さて、リアリストの思想家、マキアと、世界最強トルコと東ローマ滅亡のストーリーの、コンスタンティは、サッカーと若干関わりが弱いと思うのでここは端折る。

ロードス島についてだけど、これはファンタシー小説でこんなのがあったような気がしたけど、それとは違う、実在の話だ。
当時、ロードス島に巣食っていたのは、キリスト教の聖ヨハネ騎士団。
そのお相手は、イスラム教のトルコ。
東ローマ帝国を滅ぼし、地中海世界の覇者となりつつあったトルコが、キリスト教の最前基地みたいになったロードス島を、陥落させる話。
少なくとも、これだけでも、トルコが当時の世界トップクラスの実力者だったという事が解るはず。
日本人は、産業革命以降のヨーロッパでしかみないけど、それ以前は中東やアジアの方が、ずっと強かった。
そして、そんな世界クラスのトルコと、その時代の日本を比べても、実はそんなに負けてない気もするんだけど、西ヨーロッパ最強の思い込みは、いまだに根強い気がするなあ。

さて、そのロードス島を取られた聖ヨハネ騎士団が、追い出された挙句、辿り着いたのが、マルタ島。
あの、ワールドカップの前哨戦で、日本が苦い思いをしたマルタだ。
聖ヨハネ騎士団が行った当時のマルタは、ボロボロで、人に忘れられつつあった島であったけど、彼らは、そこで不屈の精神で必死に頑張った。
要塞を作って、産業を育て、ロードス陥落から40年後に再び相対したトルコに対しては、今度は追い払った。

そして、マルタに長くいつづけたのだけど、フランスのナポレオンとの戦いでは、今度は戦わずに降伏した。
20万以上のトルコ軍と数千の兵力で戦い抜いた聖ヨハネ騎士団も、その頃の戦闘精神は弱体化していたのかもしれない。
再び追い出された騎士団は、ローマで土地を得て、現在もそれは、小国家として、一部で認知されている。
そして、彼らがいなくなったマルタは、今もその要塞は立派に使われており、その国旗には聖ヨハネ騎士団の何かが使われている。
マルタという国の一つの基礎となったのが、その聖ヨハネ騎士団ということだ。

その後に独立したマルタを、サッカーでは各下と定めて、ボロボロな試合をやった日本。
汚職を騒がれながらも、優勝したイタリア。
今回はワールドカップに行けなかったトルコ。
大会の主役となったフランスと、相変わらずなスペイン。

歴史を知ることで、サッカー観戦は、もっとずっと面白くなると思う。

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このブログ記事

2006年7月24日 07:34 by suka

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