ぼくらがラーメンを好きになった理由

[ その日のこと ]
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電車を乗り越した。

ふと気がついたら降りるはずの駅の3つ先の駅。
パッと開いたドアに、反射的に飛び降りる。
乗り換えをしようと思ったが、あいにく上り電車は終了。
途方に暮れながら、次の手を考える。

今この寂れた駅を降りてしまうと、どこにも身を休めるところはない。
そしたら片田舎で凍えて死んでしまうだろう。
ギリギリ残っている下り電車で、地方都市と言われる場所まで下る決意をして、10分後の電車を待つ。

寒い。
たった10分が本当に長く感じる。
本当は家に着いているはずだった。
暖房をつけて、風呂に入って、サブローで遊んでいるはずだった。

そういえば家が無い人たちは、いつもこんな寒さに震えるのだろうか?
こんな寒さを防ぐためだけにでも、働かなきゃいけないんだな。
暖房も風呂もサブローも、失わない為には。

それにしても寒い。
あと3分が本当に長く感じる。
きっとタイタニックで海に投げ出された人も寒かったんだろうな。
10分後の電車じゃなくて、来るかどうか解らない救助を待って、死んでいったんだろうな。
人は希望があるから耐えられるんだろうな。
電車が来ないと解ったら死んでしまうんだろうな。

次の電車に乗り込み地方都市の駅へ。
自分が思っていたよりも、駅は大きく、そして、駅の店はほとんど閉まっていた。

駅前にまんが喫茶があるのを確認したあとで、駅の中で唯一開いてた店であるラーメン屋に駆け込む。
シンプルな中華そばと呼ばれるラーメンが無性に食べたくなったからだ。

一口めで、寒さに震えていた体が暖まったのがわかった。
ほどよい塩分と汁の熱さが、力を与えてくれたのがわかった。
孤独に震えた心が生き返るのがわかった。

きっと、ぼくら日本人がラーメンを好きになったのは、こういうことなんじゃないだろうか。
まだ貧しくて、暖房も風呂もサブローも満足に得られなかった頃、凍える身体をラーメンが癒してくれた。
そんなラーメンの味に感動して、父から子へと、その味が広まっていた。
そうやってみんなラーメンを好きになっていったんじゃないだろうか。

それでさ。
そんなラーメンと同じようにサブローも愛されていったらいいよね。
ラーメンと同じようにさ。
うん。


まんが喫茶より妄想の文章を送りました。

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このページは、sukaが2005年12月19日 04:45に書いたブログ記事です。

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