恐怖が生まれた時

[ 自分根源 ]
| | コメント(0) | トラックバック(0)

微熱交じりの風邪を拗らせ、リビングで大の字。
昇りきった陽の光がカーテン越しに部屋を照らす。
昨晩発作的に発生した肩の痛みは、まだ治らず、咳き込むたびに刺激する。
今は立ち上がる気力さえ俺には沸いてこない。
少し動けるようになったら医者に見てもらおうと考えながら、少し背の高い天井を虚ろに見つめる。

大きな音が近づいてくるのが解った。
空から落ちてくるような音。
それは俺を目掛けてくるように、だんだん大きくなる。
空が見えない俺にはその正体はわからない。
天井越しから落ちてくるその音は、いつだって俺を恐怖させる。


小さい頃に見た映画。
20年近く前に見た映画。
タイトルも内容もボケてしまったアニメ映画。
主人公は当時の俺と同じような年頃の兄弟。
兄弟は幼稚園児だっただろうか。

その日兄弟は風邪を拗らせて幼稚園を休んだ。
いつだって元気な兄弟だったがその日は幼稚園を休んだ。

米軍の飛行機だった。
パイロットは安定しない機体を捨てて、空へと逃げたした。
機体はそのまま家に落ちた。
家には兄弟がいた。
空から落ちてきた機体から、外へ逃げる事はできなかった。
兄弟は病院へ運ばれそこで死んだ。


あの時の俺はなんであの映画を見たのだろう。
あの映画は俺に何を伝えたかったのだろう。
俺に残ったのは、空から落ちてくるという恐怖だけだ。

いつもは外に行っていた。
風邪で動けなかった。
パイロットは生きていて、子供は死んだ。
今の俺は小さい子供ではないが、いつも外にいて今は風邪で動けない。

大きな音はもっと大きくなり、一番大きくなった後から小さくなっていく。
落ちてはこなかった。

きっと一生落ちては来ない。
だけどきっと臆病な俺は一生恐怖し続ける。
あの時、あの映画を見てしまったから。
落ちてきた時の運命を知ってしまったから。

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: 恐怖が生まれた時

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://whisky.xsrv.jp/mtosc/mt-tb.cgi/70

コメントする

このブログ記事について

このページは、sukaが2004年10月 7日 22:48に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「震度3」です。

次のブログ記事は「ピヤノ」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

月別記事

Powered by Movable Type 4.1